遺言について1 遺言を書いておくメリットは?
遺言について2 遺言を書いておいたほう良い場合はありますか?
遺言書は自分の気持ち(財産の分け方等)を残された方々(相続人等)に伝えるというメリットがあるのは当然ですが、それ以外に遺言書(以下特に公正証書による場合)を書くメリットとして大きく二つあります。
一つは、遺言書によって相続財産を取得することになった方が、他の方々(遺言執行者を除く)の協力を得なくても、相続財産を取得する手続きができることです。
も う一つは、遺言書がない場合には、それぞれ相続人は法定相続分どおりの持分割合で相続財産を取得する権利を原則保障されています。そこを遺言書がある場合 には、その遺言書により相続財産を取得できない他の相続人の法律上保障されている持分割合を、法定相続分の2分の1(相続人が直系尊属のみの場合は3分の 1)(遺留分)の持分割合まで下げることです。
例 えば配偶者と子が相続人の場合、通常、法定相続分として取得することができる持分が、配偶者が相続財産全体の2分の1、子が同じく2分の1であるところ を、遺言書を残すことにより、相続財産の取得を請求できる持分割合を配偶者が相続財産全体の4分の1、子を同じく4分の1の割合にまで下げることができま す。
「相続について3 遺留分とは?」でも少し触れましたが、遺言書には遺留分という大きな問題がございます。また、その他にもいろいろな問題がございます。
当事務所では遺言書の作成に関し、お客様のご事情をお伺いし、適切なアドバイスをさせていただいております。
□ ご自分の財産を法律上相続する権利がある方以外に譲りたい場合。
相続が発生した場合、誰が相続人になるかは、法律上決められております。
配偶者がいる場合はまず「配偶者」が相続人になります。
配偶者以外の順序は、子がいる場合は「子」が相続人になります。
子がいない場合に初めて「両親、祖父母等の直系尊属」が相続人になります。
子、直系尊属がいない場合に初めて「兄弟姉妹」が相続人になります。
遺言がない場合、上記の順序で相続人が決まってきます。
そのため相続人にはならない方に、ご自分の相続財産を譲りたい場合には、遺言に
その方へ遺贈する旨を書く必要がございます。
例えば、いとこ、叔父、叔母の親族又はお世話になった方等に相続財産を譲りたい
場合には遺言が必要になります。
□ 相続人になる方が、ご自分の配偶者と兄弟姉妹の場合。
遺言がなく相続が発生した場合、配偶者が相続財産全体の4分の3、兄弟姉妹が4
分の1の割合で相続することになります。
例えば、相続財産が配偶者も住んでいる不動産のみの場合や、現金があっても、配
偶者の方の今後の生活の為、その大部分を配偶者に譲りたい場合などに、兄弟姉妹
から上記の割合の財産を請求されても困る場合がございます。
そのような場合に遺言があると、兄弟姉妹には「遺留分」がありませんので、配偶
者にすべての財産を相続させる等の遺言を書いておけば、兄弟姉妹より相続財産の
請求をされることはなくなります。